帰りのバスの中は、なんだかんだではしゃいでいた人たちが疲れきって寝ていた。


私と朱音は寝れる気がせず、2人でずっと話していた。


私と朱音の間にいる悠梨はぐっすりと眠っていた。


「ねぇ、朱音。」


「何?改まって。」


「……結乃ちゃんに好きな人が出来たんだって。」


「そうなんだ。…てか、結乃ちゃんって誰?」


「私の後ろの席の中島さん。クラスの人の名前ぐらい覚えようよ…。」


「仕方ないじゃん。興味ないんだから。で、その中島さんがどうしたの?」


「もう……。でね。友達の恋バナを聞くのは楽しくていいんだけど、いまいち共感が出来なくて…。」


「なんで共感しなきゃいけないの?出来なのなら出来ないでいいじゃない。」


朱音は本当に何故かわからない顔で私のことをじっと見た。


私は思わず笑ってしまった。


「さすが、朱音はすごいね。でも、それで友情が壊れるのは怖いな……。」


「そんなことで壊れる友情なんている?悠梨は私が言いたいことを言っても、それが私らしいって認めてくれるよ。そういうのが友情じゃないの?」


「……そうだね。何言ってるんだろ、私。」


泣きそうになって、声が震えてしまった。


……図星だった。


朱音の言う通りこんなことを思って仲良くすることが友情とは思えない。


こんな話をしたかったわけじゃない。


『恋をしている結乃ちゃんがどんどん可愛くなって羨ましい。』


って言いたかっただけ。


それから私たちは何も話さず、遠足が終わった。