1人で教室に残って暇を持て余していた。


寝ている間、すごく懐かしい夢を見た。


すごくって言っても、3年くらい前のことなのに、私にとっては何十年も前のようだった。


…何十年とかいうほど生きてないけど。


外見ている時に思い出していたからかな。


甘いようでほろ苦い。


近いようで遠い。


精一杯生きてもたりないくらいの毎日。


もうこれ以上ないくらい幸せだった。


大切な友達がいて、好きな人がいた。


あの日々が昨日のことのように、鮮明に頭の中に溢れてくる。


今過ごす息苦しい日々を抜け出してあの頃に戻りたい。


高校に入学してから、ずっと願っていた___


あぁ、まただ。


思い出せば涙が出そうになる。


自分が勝手に思い込んで、勝手に決めつけて、勝手に傷ついただけなのに。


ただ思い出しただけなのに涙が溢れてこぼれそう。


「何…やってるんだろね……。」


震えた小さな声でそっと呟いた。


「帰ろっ。」


教室から出て、階段を降りる前にふと立ち止まった。


どんどん溢れてくる。


彼のことを。


私の初恋を。


「あぁ…もう……懐かしい夢なんか見るからだ。バカ。」


涙が止まらなかった。


夕方、西日が眩しい廊下の隅で1人私は泣いていた。