いつか、あの人が私に向かって言ったことがあった。
「奏は猫みたいだな、甘えてきたと思ったら離れたり
離れたと思ったら甘えてきたり。」
あのときは、そんな奏が好きなんだけど、って
付け加えて言ってくれたんだったね。
猫、か。
猫は死に際を見せないって言うよね。
猫みたいな私が好きだったあの人の言葉を
離れようとしている今でも気にしている私は
よほど彼が好きなんだろう。
恋を諦めて愛から逃げたはずだった私を
こんなに夢中にさせておいて。
いた笑いがでた。
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