「さやかちゃん、落ち着こうよ」


「誰のためにこんな怒ってると思ってんの!!」



すみません、私ですよね。


怒り狂う友人を前におろおろしつつ、ちらっと隣の彼を見ると全く気にした様子もなく居眠りすらしていた。



「り、隆一くん!起きて!多分今寝るとさやかちゃんの怒りメーターが度を越えちゃうよ」


「……」


私のささやきに、隆一くんはうっすら目を開いた。



私はホッと息をつき、もう一度さやかちゃんのほうに向きなおる。



「さやかちゃん、心配してくれてありがとう。でも、これもう私たちの中だと日常なんだ」


「凛…それが日常なんて言えるようになっちゃった時点で、アンタはもう蕪木に毒されてるよ。洗脳されてるよ」



「センノウと言われましても…」