「さっきまでは大丈夫じゃなかったかもしれないけど、ほら、もう大丈夫!」



僕からしてみれば、変わらないのはきみのほうだ。あの頃よりもずっと伸びた髪が少し大人っぽく見えるなとは時々思うけれど、いつものように無邪気に笑う姿はやっぱり変わらない。



「めいっぱい楽しんできてね、あずさの剣道を」



そう言ってポンッと背中をたたいたきみに、ふとあの夏の日の影が重なった。





ーー青だ。きみは青。

そしてきみと過ごしたあの夏も、どこまでも青い夏だった。きみがいたからこそ、青く透きとおるような夏だった。


思い出すのは、二年前、僕たちがまだ16歳だった夏。