もしかして、もしかしなくても私は迷子になってしまったのだろうか。


車の通りもいつの間にか少なくなっている。


もはや自分が今どこに向かっているのかも分からなくなってしまった。


間違ってないと思っていた方向も、合っているのかすら分からなくなった。


何か目印になるような建物を探そうと辺りを見渡すも、夜で良く見えないせいか全く見当たらない。


一気に心細さが増す。不安に飲み込まれそうだ。


小さな子供でもないのに、大学生が夜の街で自転車で迷子になって泣いてるなんて。


先日のキャンプで言われた奈緒さんの言葉が、こんな時にまた私を一段と惨めにする。


目に溜まっていた涙を拭い、次に見つけたコンビニに入ろうと決めてもう一度自転車に跨った。


脚は棒のように疲れていたけど、何もないこんな所で立ち止まっていてもどうしようもない。