もう随分と自転車を走らせた気がする。


段々、不安になって来た。


さっきのコンビニで道を聞けば良かったと後悔する。


一度自転車から降り、歩道の端に自転車を寄せた。


漕いでいるときは必死で気づかなかったけど、足がパンパンに疲れていた。


あれだけ動き回ったバイトの後だ。明日にはキツイ筋肉痛になっているだろう。


リュックからスマホを取りホーム画面を確認すると時間は20時59分。


いつの間に…と時間を見て余計に焦り始めた。


バスなら、もう今頃とっくに寮に着いている時間だ。


来た道を振り返ると、コンビニはもう見えない。


当たり前だ…さっき、どこかの門を曲がったのだから。


その角すらもうどこなのか分からなかった。