振り返ると、そこには少しだけ呆れた顔の無愛想男が立っていた。


「だから、ビビりすぎだろっ。」

「だって…誰もいないと思ってたから。それに足音もしなかったですよ。」

「俺は忍びかよ。普通に歩いてたし。」


忍びって…無愛想男がだんだん、無愛想じゃなくなってきている。


呼び名も変えた方がいいのかも。と思うくらい今日1日で彼の違う一面を見せてもらってる気がした。


「そう言えば、今日は色々とすみませんでした…。迷惑ばかりかけてしまって。」

「あ…?そんな事、もう気にすんな。」


彼は言いながら机の上にまだある缶を手に取る。


「ゴミ袋って台所?」と聞かれ反射的に「はい。」と答えてしまった。


すぐ直後にキッチンにいる二人を思い出し呼び止めようとしたけど、無愛想男改め結城さんの足はもうそこに向かっていた。