「焼きそば出来たばかりなんだけど、食べない?」


体は大きいけど、顔はニコニコと癒し系の伊藤さん。


このタイミングで声をかけてもらえた事で、ピリピリとした空気が和らいだ。


「…美味しそうですね。ぜひ、頂きます。」


伊藤さんが皿に入れてくれた焼きそばを「ありがとうございます。」と受け取ったその時、一気に周りが騒がしくなった。


川で遊んでいた皆が戻ってきたようだ。


「美味しそうな匂いにつられた〜。」

「おう、皆の分もあるからな。」


めぐと片桐先輩もいて、私を見つけためぐが駆け寄ってきた。


「さっきは災難だったね。転びそうになってた時はヒヤッとしたよ。」

「あはは…確かに私も。もうだめーって思ったもん。」

「でも、いいタイミングで結城さんが来てくれて本当良かったよ。」

「う、うん…。そうだね。」


奈緒さんが焼きそばを配りに近くに来たのが見えたから、私の返事も微妙なものになった。