彼の笑顔に出逢いたい

前を歩く彼の後ろ姿を見ながら、無愛想男が今どんな表情をして話しているのか、無性に気になって知りたくって仕方がなかった。


いつもの好奇心旺盛な性格がこんな場面でも大いに発揮されていた。


生身の男性に興味を抱くのは、小学生の時に好きだった仁君以来かもしれない。


それ以降は…身近にいる男性なんて父親か兄、後は学校の先生くらいだったし、もう少し視野を広げてみても時々行く近所のコンビニ店員くらいしかいなかった。


それくらい、周りに同年代の男の人なんていなかったのだ。


女子校の友達の中には、他校に彼氏がいる子もたくさんいた。


どちらかというと私みたいなタイプの方が、今時では珍しかった。


好奇心旺盛なくせにビビリの人見知りだったこの面倒な性格のせいで、合コンの誘いがあっても結局一度も行くことができないまま私の貴重なJK時代は幕を閉じたのだ。


転校生の仁君に恋をしていたあの頃はクラスの違う仁君を少しでも見たくて、用もないのに仁君のクラスの前の廊下を友達とウロウロしてた気がする。