彼の笑顔に出逢いたい

「あ…あぁ、タオル!そうでした。すみません…」


慌てて、そのタオルを肩にかけると柔軟剤の匂いだろうか…


嫌いじゃない香りに、フワリと包まれた。


ていうより…むしろ、好みの香りだ。だから思わずタオルに鼻を近づけクンクンしてしまった。


「ほら、行くぞ…って何してんの。お前やっぱり…」


急にこっちを向いた無愛想男に、クンクンの場面を思い切り見られてしまった…。


じとーっとした疑いの目で私を見る無愛想男。


「ち、違いますよ。いい匂いだったから、つい嗅いじゃっただけなんです!!」

「…ふーん。まぁ、いいや。行くぞ。」

「え…行くってどこに?」

「はぁ、お前バカなの?着替え、車にあんだろ。」

「はい…」

「じゃあ、着いて来いよ。」


無愛想男は、片桐先輩の車の鍵を私に見せるとさっさと前を歩き始めた。