彼の笑顔に出逢いたい

「なにその謝罪…。まぁ、いいや。とりあえず今これしかないから。」


そう言って、肩にかけてた黒色のタオルを外すとぶっきらぼうに手渡された。


え…と思いながらも、反射的に出た手でタオルを受け取ると


「それかけて、ちょっと待ってろ。」


そう言って、片桐先輩の方に向かった彼。


そしてそれを、立ったままずっと眺めていた私。


無愛想男は片桐先輩から何かを受け取ると走って戻ってきた。


「おい…何ぼーっとしてんだよ。」

「は、はい?!」

「タオル…」

「タオル?」

「手に持ったままじゃ意味ねぇだろ。首にかけろよ…ったく。」


呆れた声でそう言った彼の顔は、やっぱりこっちをみないままで晒された耳は少しだけ赤く見えた。