彼の笑顔に出逢いたい

「あ!先輩、きたっ!」


どうやらめぐの竿に魚がかかったらしい。


片桐先輩が指示をしながら、網を手にした。


そう思っていたら、不意に釣り竿を握る私の手にピクッと小さな負荷がかかった。


私の方にも魚がかかったみたいだ。


「あ、こっちもきちゃいました〜。」


どうしていいか分からなくて、とりあえず片桐先輩に伝える。


小さな川魚用の釣り竿なのでリールは付いていない。


魚の抵抗もそれほど大きくはなかった。


頑張れば私1人でも、釣り上げられるだろう。


一瞬の間にそう考えて、めぐがしているように見よう見まねで釣り上げた。


あ!


小さな魚が水面から姿を現した。


釣り竿の先に引っかかり、元気に跳ねていた。