彼の笑顔に出逢いたい

笹井さんたちが釣ってきたヤマメも塩焼きにして食べた。


釣れたての魚を食べたのも初めてで、とても美味しかった。


食べてばかりじゃ申し訳ない。


お肉を焼くのを変わった方がいいかと鉄板の方に視線を向けると、無愛想男と奈緒さんが2人で何やら楽しそうに話しながら焼いているのが見えた。


ふーん、普通にあんな顔もできるんだ…


当たり前か。だって、2人は友達だもん。


私が知るもっと前から、こんな風に何度も一緒にキャンプに来るくらい仲の良い友達…


無愛想男に向けられるその可愛い笑顔を見て、今は奈緒さんの邪魔をしない方がいいと思った。


もうしばらく様子を見て、後で交代すればいいか。


「花乃ー、こっちおいでよ。気持ちいいよ!」


声のした方を見ると、めぐが足だけ川に入りながら私を呼んでいた。


いつの間に…さっきまで隣に座ってたのに。