彼の笑顔に出逢いたい

「キャッ…」


思わず声が出た。


だって、彼の頭が私の膝の上に倒れこんできたから…


今のでさすがに目を覚ました無愛想男が


「…あ?……悪りぃ…」


と言って体を起こそうとしたけど、またカーブに入り更に体に負荷がかかる。


「おいおい、後ろだけ2人で何楽しそうな事してんの?」


からかうような片桐先輩の声が聞こえたと同時に、バックミラーには楽しそうな片桐先輩の目が見えた。


「うるせぇよ。…あんたも、悪かったな。」


今度こそ、そう言って体を起こした無愛想男。


一応謝罪もできるんだ…なんてどこまでも失礼なことを思いながら、両足にまだわずかに残る温もりに少しだけドキドキしている自分がいた。