彼の笑顔に出逢いたい


もうすぐ寮への近道が見えてくる。

木が生い茂るその道は、暗い時間なら怖くて一人では通れないけど、今はまだ日中の明るい時間帯。

それに池の周りをぐるりと囲むように作られた小道は、都会の中の小さなオアシスのようで私は割と気に入っていた。

なのに前を歩く無愛想男も、その近道の方へと曲がったので私の足も一瞬止まりかけた。

ここから先は寮しかない。

だから基本、寮生しか通らない。

って事はこの無愛想男も寮生って事…?

もしくは寮に住む友人のところに行くか、のどちらかだ。

なんだか無愛想男の後をつけているみたいで落ち着かない気分になり、更に歩く速度をゆっくりにした。