彼の笑顔に出逢いたい

その時、向かいからいかにもチャラそうな男性3人組が歩いてくるのが見えた。

大声で何かを話しながら不躾な視線を向けてくる彼らと視線を合わせたくなくて、気にしない素振りで歩いていると

「…胸、でけぇ」

3人組の方からそんな声が聞こえてきた。

誰のことを指して言っているのか流石の私でももう分かる。

「お前、声デケェって。聞こえちゃってるじゃん。可哀想に。」

そう言っておもしろ可笑しそうに笑いながら歩いて行く彼らとすれ違う間も、彼らの視線はずっと感じたまま。

彼らの声が遠く離れていくと、やっと呼吸が楽にできた。

あの人たちの声、多分、前を歩く結城 晴にも聞こえてた。

だけど後ろにいるのが私だという事に、きっと彼は気づいていない。

そう思っていた。