彼の笑顔に出逢いたい


「そういえば花乃もそろそろ時間なんじゃないの?大丈夫?」

と、めぐに言われ慌てて時計を見る。

あ!と声を出した私に、片桐先輩がどうかした?と心配そうな目を向けた。

「すみません…今からバイトの面接が入っているので私もそろそろ失礼します。今日は本当にありがとうございました。」

愛想の良い優しい片桐先輩にお礼を言って、めぐにお金を預けると私も一足先にカフェを出た。

お店を出て一旦寮に戻るため歩き始めると、すぐにあることに気がついた。

数メートル先を歩くのは結城 晴。

さっきの超絶無愛想男だ。

うわぁ、なんだか嫌だな。

少し近づいていたその距離をもう一度離そうと、若干歩く速度を緩めた。