「私ね、いつもこれ…聞くの」

精一杯の笑顔で話してみる。
人見知りで話が上手くない私でも
君と少しでも近くにいたくて。

「そうなんだ!飽きない?」
彼はアハハッと笑いながらイヤホンを私に返す。

まだ彼の体温が感じられるイヤホンをポケットにしまう。

「飽きないよ。…好きだから」

「へえ!じゃあ、今度はフルで聴きたいな!またね!」

何気なく言った『好き』はあなたに届いたのだろうか。

気づかれないまま、私の『好き』は置いてけぼりでひとりぼっちで拾われるのを待っている。