「それってあれ?好きな人とるか親友とるか…みたいなこと?」


私が考え始めたことが分かったのか、タレ目君はようやくアイスコーヒーを口に含んだ。が、やはり薄くなったコーヒーはあまり美味しくないようで、ほんの少し眉が寄っている。
だから早く飲めばよかったのに。


「まあ、そんな感じ。」

「そりゃ大変な選択ですね」


まるで他人事のようにいってやれば、じとりとした目を向けられる。
普段ポーカーフェイスな彼は、よくよく見れば案外分かりやすい。他人の話、しかも例えばの話だって自分でさっき言ってたくせに。

ていうか、こんな話私にして、どうしろというんだ。


「例えば、相手はどういう人なの?」

「…細かい設定いるか?」

「いるいる、だって人によるじゃん」

「…」

「なに?例えばの話なんでしょ?」


先程の彼と同じように何でもない風を装おってみれば、タレ目君は渋々口を開いた。


「…例えば」


身長小さくてどんくさいんだけど、いつも一生懸命で目が離せないっていうか。危ないことにも平気で突っ込んでいこうとするし、イライラするんだけどだいたい他人のことで頑張っちゃうような、

「…人、っていう設定で、どうよ。」


「おお。」

一旦タレ目君から視線を外し、ミルクティーを飲む。けれど安いからか、香りがなくてあまり美味しいとは思えなかった。