白石さんは不安げに揺れる瞳をわたしに向けている。もしわたしが彼氏だったらごめんなって言ってギュッと抱きしめてあげたくなる、そんな顔。

そのわたしの言葉に相川も顔を上げる。

「柚、売店行こう。」

そう言って相川は白石さんの席まで歩み寄って、すっとさりげなくその小さな手を引く。

その行動は彼氏以外何者でもない仕草で、その見慣れた光景を口を引き結んで見つめる。

え?

悲しくないのかって?

そりゃー辛いけど、これが恋ってもんじゃん?ダイジョーブ、安心して。これでもわたし、一年間耐えてきたから。

びっくりでしょ?相川と白石さん、あと二ヶ月で付き合って一年になるんだって。