相川はだるそうに前の椅子に腰をかけながら、プリントにてをのばした。
「え?なにしてんの?」
「こんな大量な雑用しているお前ほっとけるかよ。」
ぼそっとそうつぶやいて、ホッチキスで止め始める相川に、わたしは不覚にもドキッとしてしまった。
わたしのために…手伝ってくれてるの?
「本当に…ばか。」
わたしは思わずつぶやいた。
「は?」
そんなことするから、期待しちゃうんじゃんか…
もうこれ以上好きにさせないでよ…無責任だよ。
あんたには彼女がいるんだから…!
そう思いながらも、去ってほしくないと思った。
しばらく無言でホッチキスを動かした。
パチン…
パチン…カチッ…
だけど不思議と、気まずくなかった。
相川といると、妙に、心地いいんだ。
何も言わなくても、何かが通じ合っているような気がする。
そんな人なんだ、相川は。



