わたしは思わず瞬きをした。

ありがとう…?

わたしに憧れてる…?


あれ、なんで頬が濡れてるんだろう。

温かい何かがつーっと頬を伝ってはスカートに落ちてゆく。


私、もしかして……


「あははは、変なの…っ白石さん!」


胸の奥が鷲掴みにされたみたいに痛くて、わたしはやみくもにトイレから駆け出した。

息ができない。

なに、この気持ち。


「っ…」わたしはそのまま壁に背をつけて、ズルズルと座り込んだ。

「っうー…」



ありがとうなんて言葉、わたしにはもったいなすぎる。



わたしなんかに…お礼を言わないでよ。