わたしはそっとその場を離れた。


夕焼け色で染められた放課後の廊下で、ぼうっと一点を見つめた。


好きって辛い。


好きって苦しい。


恋のバトルとか言ってるけど、結局はみんな、誰かを思って苦しんでいるんだ。


みんな、同じなんだ。


「橘さん…」


震えた声が聞こえてわたしは振り返った。


涙の跡が残っている白石さんがそこに立っていた。


オレンジ色に染められた白石さんはそれはそれは綺麗で、だけどそれだけ悲しい色をしていた。