いけないことだってわかっていても、聞き耳を立ててしまうのが人間というもの。 それも、もしその相手が片思いしている人とその彼女だったらなおさらだ。 わたしは音を立てないようにそっと階段を上がった。 「…から、もう…めよう?」 「…も!まだ…かんないじゃん…」 近づくにつれ、どんどんと二人の声が大きくなる。 聞きたくない。 怖い。 だけど、知りたい。 矛盾した思いが交差する。