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窓から流れ込んでくる風が、優しく前の席に座る彼の髪を揺らす。

触れてみたい。

そんな衝動にかられるわたしはきっと少しおかしい。


視線をずらすと、彼の大きな背中が目に映る。

ゴツゴツしていて、男の子って感じだ。


はあああーーー…


もう何度その背中を見てきたことか。


そしてその背中を恥ずかしそうに見つめるクリクリの瞳にも目を向ける。

ふわふわの柔らかそうな髪。華奢な小さな体。白く透き通った肌。潤んだ唇。

わたしとは正反対だ。

最初から勝ち目はない。

二人はどこからどう見てもお似合いのカップルだから。

わたしはそんな二人に目を向けて、切なく微笑む。