宇佐美は、ゆっくりと立ち上がった。

涙を流した、満面の笑みで。

キッチンへと向かう宇佐美。

「うさ、み……」

「嘘だよね?その女に、無理やり言わされてるだけでしょ?」

宇佐美は台所から、あるものを取り出した。

馴れた手つきで、それをもてあそぶ。

祐也と彼女の顔がこれまで以上に青ざめた。

「宇佐美、なにを……」

宇佐美が、ニーッと、広角を最大まであげて笑った。

「私が助けてあげる!だって、センセーは……」

宇佐美は大きくその手を振り上げた。

「私のモノだもん♪」

そのまま、センセーへと振り下ろす。

その場に崩れ落ちる、センセー。

「あはは!あはははは!」

「キャー!」

宇佐美は高らかに笑った。

嬉しそうに、さぞ幸せそうに。

「だ、誰か、誰か助けてー!」

ごみでも見るような目で宇佐美は彼女を見た。

彼女との距離をじりじりと積める。

数秒後、宇佐美は無の表情で彼女を見下した。

「あんたはいらない」

瞬間、もう片方のてに持ったそれを、彼女の方に投げ捨てた。

彼女も祐也の上に倒れる。

「あはは!あはははは!」

狂気に道溢れた彼女の笑い声が血塗られた部屋に響き渡る。

しばらくすると、悲鳴を聞いて駆けつけた警察官が扉を叩いていた。