-ピーンポーン

「はい、って、何でお前?!」

センセーに来ることを告げないでいきなり押し掛けた、土曜日。

「ゆうくん?」

中から、女の人の声がする。

「おい、ちょっと宇佐美!」

センセーの体を押し退けてなかにはいる。

私の姿を見て、不思議そうに首をかしげる、先週見た女の人。

その余裕の笑みに、堪忍袋の緒が切れた。

女の人の胸ぐらをつかんで持ち上げる。

「キャッ」

「ちょ、やめろ宇佐美!」

「別れてよ!早く別れて!」

無理やりセンセーに引き剥がされる。

女の人は、真っ青な顔で震え出した。

目には涙がたまっている。

センセーは、私と女の人の間に入り私に向き合った。

「どうした宇佐美。いきなり俺の部屋に来て」

「だって、センセーが……」

浮気なんてするから。

そう言おうとしたとき、女の人が祐也センセーの服をつかんだ。

センセーが振り替えって女の人のかたをを優しく抱く。

「ゆうくん、この子だよ。前にいってた……あなたのストーカー」

は?ストーカー?

そこまで聞いてなにかを察したセンセーは、女の人をかばいながら私に向き合った。

その顔は、優しいセンセーじゃなくて、恐ろしい形相。

「宇佐美。これ以上俺の彼女を傷つけるのはやめてくれ」

「え?センセーの彼女は、私でしょ? 」

センセーも女の人も、驚いたかおで私を見る。

センセー、私のことを好きだっていったじゃない。

「……宇佐美。おれは、お前と付き合った覚えは、ない」

「だって、学校で二人きりにしてくれるし、家まで送ってくれたし、心配だって他の人より……」

苦しそうにセンセーが眉を歪めた。

「頼みごとするのは、宇佐美が学級委員だからだ。家まで送ったのは、不審者情報が出てるのに、宇佐美の家の方は一緒に帰るやつがいないから、学年主任の先生に送っていけと言われたんだ。心配していたのは、加藤から、お前が女子にハブられていることを聞いていたからだ」

え、じゃあ全部、センセーとして私に接してたってこと?

でも……

「好きっていってくれたじゃない!」

「あれは……生徒として、宇佐美が好きだってことだ。勘違いさせていたようなら謝る、すまん」

センセーが頭を下げる。

彼女のために。

今まで付き合ってたのは、私の思い過ごしだったの?

私は、センセーの彼女じゃなかったの?

あの女の方が大事なの?

私の、片思いだったの?


……嘘だ、そんなの嘘だ。

センセーは、私のことが大好きなの。

センセーと私は、両思いなの!



あぁそっか。





私のモノにしちゃえばいいんだ♪