純粋乙女の恋物語

「お兄さま……それは本当なの?」


震えそうな声で尋ねると、お兄さまは目を細めて破顔した。
その笑顔に甘さが含んでいて、私の鼓動を暴れさせた。


「本当だよ。愛らしくなっていく早苗ちゃんに、年を経る毎に強く惹かれていったんだ」


こんな奇跡って起こり得るのだろうか。心から慕っているお兄さまが私を愛しているなんて。


私の視界は嬉し涙でだんだんと歪んでいった。


「あのね、実はもう一つ夢があったの……」

「男の人のように働きたいだけじゃないの?」

「そうよ。私の夢はね――――」


背の低い私は精一杯背伸びをしてお兄さまに囁いた。


その瞬間、お兄さまは私を更に力強く抱き締めた。


「早苗ちゃんは一生僕のものだ」


そう甘く囁いて、そっと小鳥の羽のように軽い口付けを額に落とした。







“私の夢はね、お兄さまのお嫁さんになることよ”


それが私が打ち明けたもう一つの夢。






end.