猪狩さんが来たのは、それから1週間経ってからだった。



「猪狩さん、これなんですけど……。」



円お姉ちゃんは、猪狩さんに龍を指さし、説明した。



「ふーん、あの出来損ないのやせ細った龍が……ねえ……で、ワシのかえるはどこだ?」



「ここです。」



猪狩さんは、水槽に入ったかえるに近づき、それから声をかけた。



「おい、かえる。ワシのかえるよ。ワシは、お前を魂込めて彫った。にもかかわらず、学生が彫ったあんな出来損ないのやせ細った龍に何を怯えることがあるのだ?」



すると、かえるはピクッと動き、なんと口を開いてこう言ったのだ。



「え? あれ龍かい? 僕はてっきりヘビだと思っていたよ。」