「私はわからないから訊いてるんですよ! 何を描いたんですか!」
「インコだ。」
「インコ!? はあ、これが? これのどこがインコだって……ん? 言われてみると、確かにインコに見えなくも……あ! いや、インコだ! うん! はっきり見えます! インコですねー! 可愛い! 何羽描いてあるんですか?」
「5羽描いてある。1羽につき1万だ。」
「そ、それはさすがに高いですよ! そこの焼き鳥屋に行ってみてくださいよ。もっと安く……。」
「どうでもいい! いいか、ワシはこれから東京に戻って宿泊料を取ってくる。このインコはその肩代わりとして置いて行く。それじゃ、あばよ!」
「あ、ちょっと! こらー! 泥棒ー!」
私は必死に追いかけたが、おじさんは、一目散に逃げて行った。
ふと、後ろを振り返ると、そこには怖い鬼……いや、円お姉ちゃんが立っていた。



