「俺も、花のこと好きやった」
那智の言葉を聞いた瞬間、滲んでいた視界が突然晴れた。温かいものが頬を次々に流れ落ちていく。
「なんで今言うんよ」
「お前こそ、なんで今言うねん」
私の言葉に那智が笑う。私も一緒になって笑ったけれど、またすぐに涙が溢れてきた。
「せやけど、今、俺が好きなのは花じゃない。ただ、俺だって花のことは大事やと思ってる。それだけは分かってて欲しい」
私の涙は止まらなくなってしまったのかと思うくらい、次々と流れ落ちた。ただ、彼の言葉が嬉しかった。
それと同じくらい、つらくて、苦しくて、やっぱり、あの時に伝えていればよかった、なんて、後悔も生まれてくる。だけど。
「ありがとう。那智」
彼は、私にとって誰よりも大事な人で、ずっと、一緒にいたい人だから。
明日から もう一度、
私は、彼と〝友達〟をやり直そう───。

