いつもより速く、大きく脈を打つ心臓。限りなく恐怖に近い胸の高鳴りを感じながら、すう、と息を吸い込んだ。
「急にこんな事言われても困ると思うし、何で今言うねん、って思うかもしれへん」
「うん」
「だけど、言わんと前に進まれへんし、那智とも一緒に居られへんと思う。那智のことが大事やし、那智とずっと良い関係でありたいと思うから、勝手やけど言わせて欲しい」
「……うん」
那智の表情が、少し崩れた。何となく、私の次の言葉を察したのだろう。
私は、その表情にまた心臓の脈を乱れさせると、息を吸い込んだ。
「ずっと、那智のことが好きやった」
何度呼吸をしても整わないくらいの激しい胸の鼓動。とても那智の表情が見れなくて足元に視線を移していると、私の頭上から「ありがとう」と声が降ってきた。
「え?」
驚いて、顔を上げた。きっと、複雑そうな顔をさせ困らせてしまうか、今更そんな事を言うなと怒られると思っていたのに、那智の表情は意外にも優しかった。
「俺も、何で今言うねんって思うような事、言うてもええ?」
返事の代わりに一度頷く。すると、那智がゆっくり口を開いた。

