名前を聞くのを忘れて後悔をしていた私に、翌日の学校で衝撃的な事実を告げられた。



友達数人が囲んで見ていた携帯の画面には、昨日会った彼の写真があった。



そう、なにを隠そう………彼が、人気ナンバーワン若手俳優の須山勇利だったのだ。



これが………勇利との出会い。



疑心暗鬼で2週間後に向かった丘では、退屈そうにベンチに寝転がる彼の姿があった。



本当に来るとは思っていなかったから驚いたけど、内心は嬉しくて仕方なかったのを覚えている。



それから私たちは、約束をして何度もその丘で会った。



芸能人としての勇利を見たことがなかったからか、すぐに緊張はほぐれ、気づいたら呼び捨てで呼ぶようになっていた。



勇利もすぐに心を開いてくれて、俳優としての悩みも打ち明けてくれるようになった。



「そういえば、あの日どうしてこんなところにいたの?」



初めて会ったあの夏の日から時は過ぎ、季節はもう冬に移り変わろうとしていた。



いつものように2人並んでベンチに座り、ふと気になったことを聞いてみた。