「ほら、降りてこい。教室戻るぞ」

「嫌だ。変な顔してるし、顔見られたくない」

「ばーか。どんな顔でもカワイイに決まってんだろ。お前は俺にとって大事で、可愛くてしょうがない生徒なんだから」


ああっ、苦しい。
せっかく止まっていたのに、拭っても拭ってもまた止まらない涙。


私は生徒なんて言葉がほしいわけじゃない。


「お前さ、喜べよ。お前はさ、死ぬまでずっと俺の生徒なんだ。俺は嬉しいよ。お前みたいに可愛くて努力家のやつが死ぬまで俺の生徒だと思うと」


「私は、生徒なんかじゃ、生徒なんかじゃ」


「生徒だよ」


悔しい。わかっていた。初めから片思いが実るわけがないって。この気持ちは受け取ってもらえないって。


だけど、大好きなその声で、一番聞きたくない言葉で、私の恋を終わらせないで。