気がつくと大粒の涙を何度も拭いながら、屋上までの階段を一段、一段ゆっくり上っていた。その度に先生が私にくれた言葉が蘇る。


私がもっと大人だったら良かったのかな?私がもっと綺麗で素敵な女性だったら良かった?

ねえ、先生。


私が先生の生徒じゃなかったら、先生は私を選んでくれたのかな?


屋上への扉に手をかけて、ゆっくりと開けようとすると後ろから聞こえてきた急ぎ足の足音。


「なに、やってんだ。勝手にいなくなると心配するだろ!」


振り返らなくてもわかる大好きな先生の声。毎日、話したくて、挨拶だけでも嬉しかった。少しだけ低い先生の通る声。


でも、今は一番聞きたくない声。