そんな時、西条くんの携帯が震えて。
その瞬間、幸せの花が咲いたような、愛おしい笑顔を浮かべた。
「…ごめん、じゃあ俺行かなきゃ。」
「…彼女さん?」
「うん、そう。日誌頑張ってね。」
立ち上がって、椅子をしまった君が手を振って教室を出て行く。
たった数分楽しかっただけで、さっきまでなんともなかった1人で書く時間が一瞬で色褪せてしまった。
よく笑う彼だけど、
「…あんな顔、初めて見たなあ。」
ねえ、もう私1人だけでこの時間に色を付けるなんて無理だよ。
合って、そらして。
ゆらゆらゆらゆら。
クスリと笑った口元が少しだけ歪む。
─…うん、やっぱり君は気づいていないみたい。
……思わせぶりなんだ。いつだって君は。
…なんて、私が勝手に期待しているだけ。
ゆらゆらゆらり。
fin.


