夜が明ける前。 本陣の不浄門から川崎大師の無縁仏を扱う塔頭へと運び込まれ、亡骸はすぐさま火葬された。 かくして。 明けた朝は江戸入りである。 秀宗の行列が六郷の渡しを過ぎ、蒲田から大森、鮫洲と抜け、高輪の大木戸をくぐる頃には、日が高くなり始めていた。 増上寺の手前、清正公の辻で左に入り、麻布の上屋敷へ着いたのは昼過ぎであった。