しかし、である。

ただで宇和島へ行けたわけではない。

「必ず貸した持参金は返すように」

と政宗は山家清兵衛公頼という家来に六万両もの金子を貸し付けで持たせ、さらに目付としての課役を賦した。

さらに。

仮に貸した持参金が返せなかった場合は、宇和島を公儀に返す、という条件までつけさせたのである。