船が佐田の岬を越えて宇和海に入る頃には、領内へも国入りの話は伝わっていた。 宇和島では。 国入りを出迎えるべく、清兵衛が支度の陣頭の指揮を執っている。 それを横目に、 「もうすぐ腹を切らされるやも知れぬと言うに、なんともめでたいことよ」 と桜田玄蕃は冷ややかに言った。