「慶さんがあたしを抱いて少しでも楽になれるなら……それでもいいよ。あたしを利用していい」
こんな最低の俺に優しい笑顔を向けながら、萩花は俺の頬にそっと小さな手で触れた。
なんで…なんで笑ってくれるんだよ。
頼むから俺を嫌いになってくれ……。
「何言って…」
「だからお願い、そんな悲しい顔しないで」
え…?俺は今どんな顔をしていたんだ?
萩花に言われて俺は悲しい表情を浮かべていたことに気づいた。
心のどこかで萩花に『まだそばにいてほしい』という気持ちがあったからなのか、
突き放すのがこんなにも辛いことだなんて初めて感じた。
いつもならどんなに泣き叫ばれたって何も思わなかったのに…萩花にだけはダメだった。