でも、放っておけない。
そんなアイツを俺が抱きしめたい。
寂しさなんて一瞬で埋めてやれるくらい俺がアイツに全てを捧げてやりたい、と思うのはおかしいのか。
「っ…何でも知ってるような言い方すんな!
萩花を返さねーならこっちにも手がある」
「なんだよ」
「お前の全てお嬢様にバラす。
そしたらきっとお嬢様は……」
ちっ……卑怯なやつだ。
俺がその話題に触れられるのが
嫌いなのを分かっていて言ってやがる。
「やめろ……萩花はちゃんと返すから」
萩花にだけは話せない。
話してしまえばきっとアイツはまた泣くだろうし。
泣いているアイツなんて見たくもない。
どうせなら、笑っている方がいい。
だから、だから…俺はお前に嫌いになってもらう。
「もし、返さなければ…
無理やりでも連れ戻しますから」
執事は俺に一言そういうと、肩をポンっと叩いてリムジンに乗り込み走り去っていった。
どっちみち、連れ戻しに来んのかよ。
萩花の気持ちは…どーなんだよ。
何もわかってねーのはそっちだろ。クソっ…!



