「助かった……」
何はともあれ、無事に助かったからよかった。
彼が助けてくれなかったらあたしはいまごろ……考えただけで気持ち悪くて吐き気がする。
「ここはお前にとっては危険すぎる。
だから、早く帰れっつったのに」
愚痴のようにいう彼は相当怒っているように思える。
それもそのはず、あたしは彼の忠告を無視したのだから。
だけど、『危ないから』と一言いってくれればすぐにでも帰ったのに
『ガキが来るところじゃねぇ』とかひどい言い方するから…なんて心の中で愚痴る。
本来なら助けてもらえたのが奇跡といっても過言ではないくらいなのに。
「ありがとうございました」
一応助けてもらったからペコリ、と彼に向かって頭を下げれば上から抑揚がなく感情のこもっていない声が降ってきた。
「お前、ちゃんと言葉話せたんだな」
「言葉くらい話せますよ…!」
「まあ、どうでもいいけど。もう二度と会わねぇし」
そういうと、再びあたしに背を向け、ポケットに手を突っ込んで歩いていく。
その姿はやっぱり、魅力的な翼の生えたカッコイイ人に見えた。
あの翼があれば…
あたしも自由になれたりするのかな?



