「あー!もうっ!慶さんったらヒドイ!
いっただきまーす!」
「ん」
『美味しい』と笑顔で朝飯を頬張る萩花。
コーヒーを飲みながら
そんな姿をみているとなぜか頬が緩んだ。
なんか……癒されんな…って俺は何思ってんだよ。
こんなうるせーやつ見ても癒されねぇっつーの!
「洗い物はしとくから
慶さんは学校に行ってきて!」
制服に自分の部屋に行って着替え終わり、ネクタイを締めながらリビングに向かうと
朝飯を食べ終わった萩花がシンクに食器をガシャンと置きながら言った。
「お前はどーすんの」
「今日は休むよ。明日からはちゃんと行く」
「そうか。んじゃあ、行ってくる」
真面目なやつだな。
行きたくないんだろうけど行かねぇときっと親に迷惑がかかるの思ってんだろーな。
どこまでも優しい。
俺にもその優しさがあれば何か変わっていたのか?
不器用にしか生きれない自分が俺は嫌いだ。
「気をつけてね」とわざわざ玄関まで付いてきた萩花に『ああ』とだけ返事をして家を出た。
「赤羽慶さんですよね?」
家を出て10分ほど歩き、もうすぐ学校というときに目の前に現れたのは黒いスーツに身を包んだ若い男。



