「俺はコーヒーでいい」
いつもそうだから逆に食ったら気分悪くなりそう。
それなのに萩花は心配そうにまゆを下げて口を開いた。
「ダメだよ。ちゃんと食べなきゃ。
だからね!明日からはあたしが慶さんの朝ごはん作る!」
一人で勝手に意気込んでいる萩花はもう眠気から脱出したらしい。
「ガキは寝てろ。
じゃないと、おっきくなれねーぞ」
しかも、いかにも“朝が弱いです”って顔してんだろ。
それなのになにが『慶さんの朝ごはん作る!』だよ。
自分の世話が出来るようになってから言え。
朝ごはんを作ると言ってもらって
嬉しいなんて……思ってーからな。ちっとも。
「またガキ扱いして!
別に大きくなれなくてもいいし!」
朝からツンツンしてやがる。
その強気はどっから出てくんだよ。
「いろんな意味でおっきいほうがいいぞ」
もちろん、身長だけじゃない。
その…まあ、色々とだ。
「え?それはどういう意味ですか?」
「ガキのお前にはわかんねーな」
俺からしたらお前なんてアリンコみたいにチビで幼稚園児のようにうるせぇガキだ。