【完】溺れるほど、愛しくて。




「……チッ、めんどくせぇな」



彼がぼそっとそういったのがあたしの耳にはちゃんと届いていた。



「んだよ、てめぇ。
俺らのこと雑魚って言ったこと
すぐに後悔させてやる。」


「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。
さっさとそのガキを離せよ」


「あ?お前に指図される筋合いなんてねぇよ。
誰も、もうお前なんて怖くねぇんだよ」



ヘヘッと気味悪い笑い声を上げる奴ら。
一方で彼は平然としていて、至って冷静そうだ。



「俺だって、お前らみたいなクズは怖くない」


「落ちこぼれ…うっ!」



えっ……今何が起こったの?


気づけば、あたしの腕を掴んでいた男の人が地面にお腹を抑えながら倒れていた。


彼が…一発でこの男の人を……
そう考えると、ゾッと寒気がして恐ろしかった。



「あ、兄貴…!やばいっすよ!逃げましょ!」



もう一人が彼の放つとてつもなく黒いオーラに圧倒されたのか倒れている男の人を立ち上がらせると、おぼつかない足取りで二人揃って逃げていった。