「あっ…でもあたしここにいちゃダメだ」 「は?」 「だって、慶さんには彼女さんが…」 あたしってば、今の今まですっかり忘れていた。 慶さんを見ると嫌なことなんてすべて忘れてしまう。 慶さんの心を射止めているのはあたしじゃなく、あの美人な彼女さんだ。 ずっと前から分かっていたけどズキズキと胸が痛む。 「…いまさら帰るなんて許さねぇから」 「え?」 だって、ついさっきまでは『長居はするな』とか言っていたくせにどうして急にそんな惑わすようなことを言うの?