「だから…笑ってる方が俺は好きだっつってんだよ」
「…っ、」
『好き』なんて言わないでよ。
あたし、バカだから舞い上がっちゃう。
慶さんは泣いてるよりはマシだという意味で言っているだけなのに。
「こんくらいで照れてんじゃねぇよ」
ふっ…と綺麗な笑顔を見せた慶さん。
その笑顔にあたしはもう目を離せず釘付け状態だ。
慶さんが……笑った。
初めて見た…思っていたとおり笑うと少し優しい表情になる。
「…慶さんこそ、もっと笑ってよ」
「は?」
「あたしは慶さんをもっと笑顔にしたい」
そんな氷のように冷たい瞳でこの世界見ないで。
確かにこの世界は嘘や憎しみばっかりだけど、どこかにありふれた幸せや愛があるんだよ。
だから、もっと笑って
もっとあたしに感情をみせてよ。



