「…家に連れて行って…お願い…」
「無理。なんで俺がお前みたいなヤツ」
「もう行く宛がないの…慶さんっ…!」
下げていた視線を上にあげると切なげに揺れている慶さんの瞳と目が合った。
「……少しの間だけだからな」
「はいっ!ありがとうございます!」
「その代わり、敬語はなしだ。
それと、俺の少し後ろをついてこい」
「あ、了解…」
無言で歩き始めるからあたしも慌てて少し後ろを歩く。
翼の生えた後ろ姿をずっと見つめていた。
だけど、その翼は傷つきすぎて飛べないように思えた。
何がそうさせたのかは分からないけどあたしの目にはそう映った気がしたんだ。