【完】溺れるほど、愛しくて。




「キミ、また来たの?」



ふと、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきて振り向くとそこには五十嵐さんが立っていた。



「…いいじゃないですか」


「こんなところ、君みたいな子は近寄らないけど」



この人の言うとおりだ。

あたしみたいなお嬢様は危険だと言われてこの街は絶対に来るのを避ける。



「あたしは…ある人に会いに来たんです」



慶さん…どうしようもなく会いたいんだよ。
彼女になれなくてもあたしをそばにおいてよ。



「もしかして、慶のこと?」


「っ…!」



そういえば、彼は慶さんと一緒に映っていた写真を部屋に飾っていた。



「その顔はそうみたいだね。アイツに会いたいの?」



優しい顔をして言うから、釣られるようにしてコクンと素直に頷いてしまった。



「副総長、それ誰っすか?」


「お前は引っ込んでろ」



あたしと彼が話している時に知らない男の人が入ってこようとしたけど、それを彼が低い声で止めた。


こんな声…出せるんだ。


しかも、副総長って……?
もしかして暴走族とかだったりする?



未だにそういうのがあったということに驚いた。
もう昔になくなっていたと思っていたから。